三郎丸 Ⅰ ザ・マジシャン

三郎丸蒸溜所のシングルモルト 第2弾です。

アロマはしっかりとした主張。トップノートで甘い麦芽香と柔らかいピート。アーシー感、優しいクレゾール、麦の香ばしさ、焼きおにぎり。
フレーバーは黄色いフルーツ系の酸味、甘味の後、心地よく柔らかいピート。マンゴー、バナナ、魚の旨味。
フィニッシュはピートと柑橘系の酸味。余韻は中程度。
優しくピートをベースに香ばしい穀物感とフルーツ系の酸味を楽しめます。

PS:これは2018年に新しくなった三宅製作所社製のマッシュタンと旧ポットスチルで仕込んだ原酒のもの。これでも十分美味。三郎丸では2019年に世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」を導入、2020年から一部発酵に木桶発酵槽を導入しており、ますますの進化が楽しみです。

ピティヴァイク12年 花と動物シリーズ

仙台で久々にこのボトル見つけました。

アロマの立ちは穏やか。トップノートで甘いハーブと熟したフルーツ香。黄桃、枇杷、イチジク、黄色い花、茶葉、バニラ、シナモン、落ち着いた麦芽香。
フレーバーは優しい口当たり。ハーブの甘味苦味。柑橘系フルーツの酸味と甘みが、後から重なって行く。
フィニッシュはオレンジピールの渋み。
ライト〜ミディアムボディで、穏やかだが上品な主張。
時間経過で熟したフルーツ感とトースト感が加わる。カカオや醤油で焼いた菓子のようなニュアンスも。

PS:ピティヴァイクはスコットランド、スペイサイドのダフタウンにあって1993年に閉鎖した蒸溜所。この花と動物シリーズも以前飲んだ記憶はあるものの、味ははっきり覚えておらず、仙台のbar Andyでの久々の再会。
ボトリングも2000年代前半以前のはずで瓶熟の影響もあるのか、穏やかで華やかな美酒っていう印象でした。

グレンリベット14年 コニャックカスクセレクション

コニャックカスクで6ヶ月の後熟を施した14年熟成のグレンリベットです。

アロマはトップノートで甘い熟したフルーツ。完熟リンゴ、アセロラ、ハチミツ、アプリコット、黄桃、続いて、樽の甘味、バニラ、シナモン。
フレーバーで樽の甘味、渋み。ゆっくりとフルーツの酸味が広がる。甘く粘性のある優しい口当たり。
時間経過と共に青リンゴ、ハーブっぽいニュアンスが現れる。
フィニッシュは暖かい酸味、渋み。余韻は中程度。

アロマで感じる赤いりんご感がフレーバーでは青いりんご感に。時間経過でも赤から青リンゴに変化。リンゴの色の変化を楽しんでる印象もあります。

PS:バーボン樽熟成とシェリー樽熟成の原種をブレンド。さらにその一部をコニャックカスクで6ヶ月後熟させたもののようです。
アロマでコニャックカスクの影響を受けている思わせる優しく甘いフルーツ感を感じ、フレーバーでグレンリベットの元々のキャラクターを思わせる青いフルーツ感が徐々に現れます。
12年熟成のスタンダード品と飲み比べるのも面白いです。

マッカラン エディションNo.6

マッカランの限定品、エディションシリーズの最終のボトルです。


アロマはトップノートでトースト感溢れる熟したフルーツ香。焼きりんご、黄桃、僅かな硫黄感、よく焼いたスポンジケーキ、麦芽香、バニラ、タンニン、上質な木工家具。
フレーバーは甘味、酸味、渋みがバランスよく表れる。フルーツタルト、オレンジマーマレード、オークの甘みを連想。
フィニッシュは樽の渋み、甘み。暖かくホッとする余韻。
豊潤でエレガント、上質なシェリー感が漂います。

PS:シェリーバット樽、ホグスヘッド樽。アメリカンオーク樽、ヨーロピアンオーク樽。など素材や容量の異なる5種類の原種をブレンドしているとのことです。
このシリーズはシングルモルト のロールスロイスと呼ばれた往年のマッカランの片鱗を垣間見ることが出来ると思います。エレガントな熟したフルーツ感が印象的なモルトでした。

グレングラント アルボラリス

グレングラント メジャーリザーブの後継品とのことです。メジャーリザーブ同様コストパフォーマンスが素晴らしい一本。

アロマは良好な香り立ち。トップノートで柑橘系のフルーツ香と樽の甘味。ネーブルの皮、金柑。ハーブ、若々しい麦芽香、バニラ、木材の切り株、奥に溶剤感。時間が経ってパイナッルやバナナのニュアンス。
フレーバーはアタックでハチミツの甘さと柑橘フルーツの酸味。続いて心地よい渋み。ライトボディ、甘いがあっさりとした口当たり。
フィニッシュで柑橘の酸味と樽の渋みが残っていくが切れ上がりは早く潔い。余韻は短め。

複雑さや豊かさには欠けるが、手頃な値段で爽やかで甘いシングルモルトの魅力が味わえるボトル。特にハイボールはお勧め。

PS:アルボラリスとはラテン語で「木漏れ日」の意味。ラベルのデザインもブランド名もこのウイスキーの香味とマッチしています。バーボン樽熟成とシェリー樽熟成の原酒のブレンドで良いバランスに仕上がっています。

厚岸 処暑

厚岸蒸溜所の24節季シリーズの4弾。今回の「処暑」はブレンデッドウイスキーです。

アロマは落ち着きながらも強い主張。麦感漂う甘いピート、熟した果実、バナナ、柔らかいアーシー感、こなれた麦わら、漁港の匂い。
フレーバーは灰、焼いた魚の皮、茶葉、紅茶、熟したフルーツ感。
フレッシュな酸味、甘味が、まず主張し、渋みとピート感が追いかける。ビーフジャーキーのようなミーティでしっかりとしたボディ感がある。
余韻は暖かく長く続く。
丸みのある甘いアーシーなピートと熟したフルーツ感がハーモナイズ。

PS:24節季シリーズの4弾ですが、ブレンデッドウイスキーとしては「雨水」に続く2作目。雨水に続き今回もモルト原酒は厚岸蒸溜所のもの、グレーン原酒は海外のニューポットを輸入し厚岸で熟成させた原酒を使用しているという興味深い構成です。
今回の処暑は円やかなピート感とおそらくはシェリー樽に由来する熟したフルーツ感の調和が素晴らしく、個人的には前作のブレンデッド雨水に比べても素晴らしい出来だと感じます。

余市 ノンピーテッド

ピートタイプのジャパニーズシングルモルト ウイスキーとして異彩を放つ余市。あえてノンピートでのボトリングです。

アロマはトップノートで甘い麦感、フレッシュなフルーツ、洋梨、バニラ、シナモン、花の蜜。
フレーバーは酸味、甘味が主役、柔らかいオークの渋みが追いかける。フルーティでスイート、とても柔らかい口当たりだが、しっかりとした質感がベースに存在。酒質のしっかりしたタイプのスペイサイドモルトに近い印象。
通常のピートタイプの余市ではマスクされていたフルーツ感が主役になり、余市にはピートがなくともしっかりとした質感があることを再認識させてくれる。

PS:ニッカのディスカバリーシリーズ第一弾としてリリースされたボトル。ピートが特色の1つの余市だが、逆にノンピートの余市を味わうことで余市のしっかりとした酒質を再認識することができます。
宮城峡のピーテットタイプも同時に発売されていて、こちらも飲みましたが、個人的にはこの余市の方が断然気に入りました。

キルケラン8年カスクストレングス 56.9°

リチャーしたオロロソシェリー樽8年熟成のキルケランです。

アロマは穏やかだがしっかりした主張。トップノートで熟したフルーツ感と濃厚な樽香。黄桃、ドライアプリコット、ブラックベリー、クローブ、シナモン、オレンジタルト、素朴な麦芽香、軽い溶剤感、なめし革、上質な木製家具。
フレーバーはアタックでソルティ感をベースに柔らかいフルーツの甘味、麦芽の甘さ。心地よい柑橘系フルーツの酸味が続き、淡いタンニン様の渋みとフルーツの甘さがフィニッシュに向けて舌の上で溶けて行く。

柔らかく口の中で馴染む、樽感と甘いフルーツ感が秀逸、アルコール度数の高さからは想像できない滑らかさと上品な質感を楽しめる。またアロマとフレーバーがシンクロしている印象でバランス感も素晴らしい。

PS:リチャーしたオロロソシェリー樽での8年熟成でカスクストレングスでのリリース。
ボトルではなかなか手に入らず、量り売りで購入。バーで見かけたら、キルケランの好きな人、シェリー樽熟成の好きな人には是非飲んで頂きたいモルトです。

オーバン14年

常飲しているモルトではありませんがたまに飲みたくなります。

アロマは穏やかに訴えかけてくる印象。トップノートは瑞々しいフルーツ、ソルティ感。続いてバニラ、マスカット、白い花、ハーブ系の香り、レモン水。
フレーバは口に含むと滑らかに渋み、酸味、甘みが協調して現れる。ハーバルでソルティ、花びらを齧ったような渋み、喉を通すとソルティで甘みを伴いながらハーブ系の酸味のフレーバーが続く。
全体的に柔らかくてリッチ、適度な熟成感が心地良く広がります。

PS:オーバン蒸溜所はスコットランド本島、西ハイランドに位置する港町に位置する蒸溜所です。ディアジオ系列の蒸溜所としては、生産規模も小さく一般に良く飲まれているシングルモルトとは言えないと思うのですが、古くからUD社のクラシックモルトシリーズの1本として選ばれていて、愛好家も多いように思います。またディアジオ系列の蒸溜所で唯一全ての原酒がシングルモルトとして出荷されている(ブレンデッドウイスキー原酒としては使われていない)ことでも有名です。

スプリングバンク10年 ローカルバーレイ 2010-2020

2019年瓶詰めのローカルバーレイも素晴らしかったですが、この2020年瓶詰めのものも秀逸です。

アロマは華やかかつ、落ち着いた香り立ち。トップノートで素朴な麦感と熟したフルーツ。ブラックベリー、焼きリンゴ、黒糖、ダークチョコレート、オランジェット、クローブ、甘いハーブ感。
フレーバーはアタックで熟したフルーツと麦の甘み。次に樽由来の渋み、そしてブドウ系の酸味が残っていく。ドライアプリコット、オレンジ、タンニンの渋み、ホットケーキにかけたシロップのニュアンス。
しっかりとしたボディ感を伴いながら、樽由来のスパイシー感とベリーの甘さが主張するフィニッシュに繋がる。余韻は比較的長い。

若干の若さを感じるものの、しっかりとしたボディ感をベースに、素朴で懐かしい麦感、熟したフルーツ、樽由来の甘味が絡み合い、極上のハーモニーを奏でています。

PS:凄く美味しかった2019年ボトリングの前作で終了かと思っていたローカルバーレイですが、2020年ボトリングがリリースされました。今回はシェリー樽熟成です。
去年飲んだ2019年ボトリングのものが、トロピカルフルーツのニュアンスがあり印象的でしたが、今回はシェリー樽熟成のニュアンスが前面に出て違った魅力があります。
量り売りで、100cc程手に入れることが出来きました。流石に暑い時期に何杯も飲みたくなるようなモルトではなく、少し経って秋の涼しさを感じながら、改めてゆっくり飲みたいモルトです。