ダフトミル2009 サマーバッチリリース

昔ながらの農場兼蒸溜所が毎年少量生産でリリースするモルトウイスキーです。

アロマはしっかりと濃厚な香り立ち。熟したフルーツ、ブラックベリー、ドライアプリコット、クローブ、黒糖、オレンジタルト、オランジェット、優しい麦感、奥に溶剤、硫黄感。時間が経ってハーブ、草っぽい蜂蜜感。
フレーバーはアタックで熟した果実の甘み。徐々にフルーツの酸味が現れ、優しい樽の渋みが残って行く。口当たりは柔らかく舌の上を滑る感覚。ハーブ、蜂蜜、優しく甘い麦芽感。マスカットのニュアンスも共存。

凄くリッチで心地よいモルト。ピート以外の様々な要素を堪能出来ます。

PS:ダフトミルはスコットランド、ローランド、ファイフ地方の農家、カスパード家が造るモルトウイスキー。領地内で収穫された大麦麦芽を使用して、農閑期に当たる真夏と真冬に少量生産されています。少量生産でこの蒸溜所のウイスキーにはなかなか出会えないのですが、バーなどで見かけると必ず頂いています。このボトルは勿論2009年の夏に仕込まれたもので、たまたま酒屋の量り売りで見かけたものです。

グレンギリー ワインカスクマチュアード 1999-2018

ワイン樽熟成の魅力を堪能出来るモルトです。

アロマは優しくしっとりと香る。プラム、チェリー、レッドベリー、熟したフルーツ、ブドウのタルト、爽やかな麦芽香、優しい硫黄感。

フレーバーは酸味、甘味、渋みが優しくバランス良く主張。口当たりは舌の上を滑るように滑らかで、心地よく樽由来の渋みが残る。フレッシュな赤いフルーツ感、黒糖、キャラメル、葡萄の搾り汁、若干の硫黄感が良いアクセントになって全体の印象をリッチにしている。
フィニッシュはタンニン感を伴う葡萄の皮のような渋み。余韻は比較的長い。

PS:シャトーラグランジュの赤ワイン樽で熟成させたグレンギリー。グレンギリー蒸溜所はサントリーが所有しながらも、わりと地味な存在ですが、このボトルは赤ワイン樽熟成魅力を堪能出来つつも控えめな硫黄感が上手くアクセントになっていて秀逸な出来だと感じました。量り売りで気に入ったので、フルボトルを購入してしまいました。

桜尾 シングルモルトジャパニーズウイスキー

桜尾ジンで既に知られている桜尾蒸溜所から初のシングルモルトウイスキー、桜尾と戸河内がリリース。

アロマは若くて甘い麦芽香、ややフェインティ、淡いピート感、奥にハーブ、黄色い花、柑橘フルーツ。
時間が経って麦の甘味が際立つ。
フレーバーは穀物の甘さ、ピートとソルティ感を伴いながら爽やかなフルーツの酸味が舌の上で弾けるように広がる。徐々にバニラ、シナモンの樽由来の甘さとタンニン様の渋みが残る。
時間は経ってフレーバーでも麦芽の甘さ、レモンピール様の酸味が、より強く主張してくる。
余韻は比較的短い。

PS:このシングルモルト 桜尾は、アロマで若さやアルコール感が気になるが、フレーバーでは麦芽の甘さ、フルーツ感、樽由来のシナモン、バニラ感が絡みあって面白いです。ソルティで、ややスモーキーなのは海の近くの熟成庫の影響か?
それにしても戸河内と桜尾は全くキャタクターが異なり、上手い商品ラインナップだと思います。

戸河内 シングルモルト ジャパニーズウイスキー

もう既に桜尾ジンでおなじみの桜尾蒸溜所の初のシングルモルト 。桜尾と戸河内の2種類がリリースされました。

アロマは穏やかで優しい。フルーティでエステリー。優しい麦芽香、瑞々しいフルーツ、アロエ、イチジク、マスカット、山ブドウ、プラム、バニラ、シナモン、ややアルコール感が背後で主張。
フレーバーは爽やかで瑞々しい甘味、酸味。徐々に控えめで優しく渋みが現れる。
プラムや白桃のような甘味、酸味。マスカットのような瑞々しさが心地良い。
熟成年数は3年程度と思われますが、若さ故のネガティヴな要素を殆ど感じない。アロマとフレーバーの印象がマッチしていてバランスが良い。
フィニッシュはプラムの酸味、樽の甘味、渋み。
余韻は比較的短め。

PS:中国醸造の桜尾蒸溜所がリリースするシングルモルト 戸河内です。蒸溜所が2017年オープンなので3年ちょっとの熟成だと思います。戸河内は広島の山奥、戸河内トンネル内で熟成させたもので、同時期に発売されたシングルモルト桜尾が蒸溜所の海近くの熟成庫で熟成されているのとは対照的です。
熟成庫の違いだけが桜尾と戸河内の個性の違いに結びついているのかは分かりませんが、この2つのブランドは若い熟成年数ながらまったく異なる独自の魅力を放っています。

静岡プロローグW

プロローグKに続く、静岡蒸溜所の2本目のリリースです。

アロマはしっかりと語るかけてくる印象。フレッシュなオーク香、バニラ、シナモン、ハーブ、メントール、白い花、メープルシロップ、メロン、背後にピート、焦げっぽいトースト感。
フレーバーは口に含むと甘み、渋みが主張し喉を通すと酸味が心地よく広がる。ソリッドなしっかりとした酒質。バニラ、シナモンのオーク由来の甘さ、麦芽の甘さ、出来たての木工製品、レモン系の柑橘フルーツ、ハッカ、メントールのニュアンス。
フィニッシュはフレッシュな酸味、渋み、オーク由来の甘みがバランス良く続く。余韻は中程度。

元々の原酒の特徴なのか、フレッシュなオーク感、メントールのニュアンスの主張が個性的。ここの好き嫌いで飲み手の評価は別れそうです。プロローグKより酒質が厚く、リッチな印象を感じました。

PS:静岡蒸溜所がリリースする2本目のシングルモルト 。ファーストリリースは初留に軽井沢蒸溜所から買い取ったスチルで蒸留したものでしたが、今回は初留を薪の直火焚きによるフォーサイズ社製のスチルで行ったものです。
どちらも独特なフレッシュなオーク感を感じますが、これはこの蒸溜所の個性なのかもしれません。発酵槽にも杉の木を使っていたり、蒸留所の建物自体に杉の木が多く使われていることが関係あるのかもしれません。今回のボトルの酒質は厚く、トースティな印象でこの独特のオーク感との相性が良く、プロローグKよりこのWの方が断然好みです。

リンクウッド 12年 花と動物シリーズ

花と動物シリーズはディアジオ社がリリースするオフィシャルボトルですが、現状手に入るボトルの中では、このリンクウッドが1番のお気に入りです。


アロマはフルーティで華やか。瑞々しいリンゴ、マスカット、スミレ、ミント、蜂蜜、爽やかな麦芽香、ややソルティ。
フレーバーは柔らかく、甘い。フルーツの酸味が追いかけ渋みが背後で良いアクセントに。リンゴの蜜、マスカット、ハーブ、フルーツケーキのニュアンス。
フィニッシュはフルーティな酸味、甘味。余韻は中程度。

アロマ、フレーバーともにコンテンツの種類が多くリッチ。スペイサイドモルトの魅力を堪能出来る。

PS:リンクウッドはスコットランド、スペイサイドのエルギンに位置する蒸溜所で、オフィシャルスタンダードとして手に入るのは二羽の白鳥が描かれた、この「花と動物シリーズ」のみだと思います。このオフィシャルボトルでも元々の素性の良さが充分に味わえますし、ボトラーズで出回るものも気になるものが多いです。

アードベック スコーチ

2021年アードベックデーの記念ボトルです。


アロマは重くこもった香り立ち。トースト感が漂うバニラ、焼いた魚の皮、アーシーなピート、焼けた穀物感。時間が経ってヨード感も際立つ。奥から柑橘系フルーツ、熟したフルーツ、ヨーグルト、ハーブ、魚の旨み感。
フレーバーはピーティーでソルティ。海水、塩味の効いた焼き魚、ヨード、バニラ。微かにレモン汁のニュアンス、草っぽさ。
フィニッシュはソルティでピーティー、バニラの甘さ。
余韻は中程度。

かなりソルティな味わいが乗ったピート、バニラ、柑橘系フルーツが共存。塩味の乗った燻した魚にレモン汁を垂らした旨み感を連想。スタンダード10年に比してバニラ様の樽由来の甘さが際立つ。

PS:毎年5月の最終週に開催されるアイラフェスティバルに催される各蒸溜所のオープンデーのトリを飾るのがアードベックデー。今年の記念ボトルがこのスコーチです。scorch とは「焦がす、炙る」という意味で、このモルトがヘビリーチャーしたバーボン樽で熟成させているのと、アイラ島の伝説でありアードベックの3番熟成庫に住みつくと伝えられているドラゴンに因んだものです。
味もイメージとぴったりなのですがパッケージでドラゴンとアードベックの飼い犬ショーティが密かに?戦っているのは笑えます。

リンクウッド2006 14年 54.9% ソーテルヌフィニッシュ/アリスターウォーカーカンパニー インフリークエントフライヤー

大阪、堺市の酒屋の量り売りで購入

アロマは甘くしっとりと香る。熟したフルーツ、リンゴ飴、アプリコット、熟れた洋梨、バナナ、フルーツタルト、バニラ、シナモン、甘さに縁取られた麦芽香、奥に重めの溶剤感。
フレーバーは甘味を背景に酸味と渋みが重く主張。オーク由来の渋みが印象的。バニラ感、新品の木工製品のニュアンス。アロマで感じた甘くフルーティな感覚も存在するが、フレーバーはオーク由来の甘味と渋みが主役。フィニッシュに向けても甘苦いような渋みが持続。余韻は中程度。

時間が経ってフレーバーでも熟したフルーツ感が主張。桃や枇杷のようなニュアンスとオーク感の共存が楽しくなる。フィニッシュも暖かく長くなる印象。
それにしても独特のオーク感が強く個人的には少し違和感を感じました。

PS:アリスター・ウォーカー・ウイスキー・カンパニーはあのビリー・ウォーカーの息子、アリスター・ウォーカーが2018年に立ち上げたインディペンデントボトラーです。
このボトルはソーテルヌワイン熟成のホグスヘッド樽フィニッシュです。ヴァージンオークを彷彿とさせる独特のオーク感とフルーツ感の組み合わせは、好みが分かれるかもしれません。

インペリアル 20年 1995 シグナトリーヴィンテージ

インペリアル蒸溜所はスペイサイドの閉鎖蒸溜所、跡地にはダルメニャック蒸溜所が建っています。

アロマはまったりとした甘い香りが広がる、バニラ、シナモン、熟したフルーツ、黄桃、リンゴ、黄色い花、フルーツタルト。時間がたってハーブ感も。オーク感を背景にフルーツと花の甘い香りが漂う。
フレーバーはリンゴの甘み、酸味からリンゴの芯の渋み、リンゴのタルト、レモンピール、甘い花の香りのニュアンス。
フィニッシュは暖かい酸味、渋み。余韻は優しく長い。

PS:インペリアル蒸溜所は2005年に閉鎖されたスコットランド、スペイサイドの蒸溜所です。華やかなフルーツとフローラルな香味が主役のスペイサイドらしいモルトだと感じます。これをバーで飲んだ時は、開栓したてだったので、まだ全ての香味が開いていないのかもしれません。中味が少し減ってからどう味が変化しているか、外飲みできるようになったら早速確かめに行きたいものです。

キャラクターオブアイラ ラフロイグ14年 2005 46°

リフィルシェリーバット熟成のラフロイグ、酒屋の量り売りで購入

アロマはピート、クレゾール、ヨード、アスファルト、重いオイリー感、草っぽさ、燻した魚介類、奥に柑橘系フルーツ、麦芽香、バニラの甘さ、スモークも存在するがヨード、アスファルト感の方が前面に存在。
フレーバーは柔らかく甘味、酸味、渋みがバランスよく溶ける。徐々に甘いバニラ、フルーツケーキのニュアンス。背後にピートがあり甘さとのコントラストを描く。フィニッシュに向けて魚介類の旨味成分とピート、わずかなハーブ感が残る。余韻は中程度。

海辺で魚介類を中心のバーベキューをしているかのような香味を感じるアイラモルト。バランスが秀逸。ストレートでゆっくりと味わいたい。

PS:キャラクターオブアイラウイスキーカンパニーはあのブティックウイスキーで知られるアトムブランズがプロデュースするボトラーズブランドです。
このボトルはリフィルシェリーバットの14年熟成のラフロイグで素晴らしい出来ですが、ボトルの価格は3万円近くでなかなか手を出しにくい価格帯です。バーで飲むことが難しい昨今、こういったものを量り売りで味あわせて頂けるのはありがたい限りです。