マルス The Y.A

屋久島で熟成された本坊酒造のブレンデッドモルトです。


アロマは香り立ちは中程度、穏やかに語りかけて来る印象。トップノートで爽やかで熟したフルーツ。バナナ、黄桃、マンゴー、バニラ、シナモン、優しい麦芽香、黄色い花、蜂蜜、奥に僅かに人工的なウッディなニュアンス、樽由来のもわっとした質感も存在。
フレーバーはフルーツの甘味と樽の渋み。喉を通すとフルーツの酸味が樽の渋みを伴いながら気持ちよく広がる。
フィニッシュに向けても心地よい酸味、渋みが残って行く。余韻は中程度。
熟成感はほどほどに、バーボン樽ならではの爽やかなフルーツ感と樽のニュアンスが現れます。やや熟したフルーツ感もはっきりしているのはシェリー樽の影響もあるのか。

PS:マルス信州とマルス津貫で造られた原酒をバッティング。熟成は屋久島の貯蔵庫で行われたものもようです。輪郭のハッキリとした黄色いフルーツ感が印象的。蒸留所2ヶ所、貯蔵庫3ヶ所を有するマルスならではのブレデッドモルトです。

エッセンスオブサントリー シングルモルトウイスキー 山崎 スパニッシュオーク(新樽) 2009-2019

材がスパニッシュオークの新樽熟成の山崎です。

アロマは香り立ち良く、重く漂うニュアンス。
トップノートで熟したフルーツ感と黒のパウダースパイス感。ブラックドライフルーツ、硫黄感、カカオ、チョコレート、紹興酒、背後に柑橘フルーツ、人工的ニュアンス、パルプ感、タンニン感。
フレーバーはアタックで甘いフルーツと樽の甘さ渋み。硫黄、ゴム感、植物系の苦味。那智グロのような甘味、樽の甘えぐみ。
フィニッシュは樽の甘渋み、余韻は長い。

PS:スパニッシュオーク材の新樽での熟成。いわゆるシェリー樽は材がスパニッシュオークの樽をでシェリー酒でトリートメントしている事が多いですが、この新樽熟成のモルトはシェリー樽熟成のモルトの香味の基本的な要素を体現しているようです。シェリー樽熟成のものより、よりえぐみが前面に出て、それぞれの要素が際立っている印象。通常のスパニッシュオークのシェリー樽は、シェリーのトリートメントでスパニッシュオークの影響をよりマイルドにし、香味の要素を円滑にまとめてるのか?と感じました。

カーデュ16年 ディアジオスペシャルリリース2022

博多、中洲のバーで頂いたディアジオスペシャルリリースのカーデュ16年です。

アロマの立ちは良く、しっかりと語りかけてくる印象。トップノートで熟したフルーツ感とオークのニュアンス。黄桃、アプリコット、バナナ、バニラ、シナモン、甘やかなハーブ。
フレーバーはフルーツの甘味、酸味、渋みがバランスよく現れ、比較的シャープな渋みが残っていく。
熟したフルーツ樽と由来の渋みのハーモニー。
黄桃のような、ふくよかなフルーツ感と樽の甘さ、渋み。苺ジャムのニュアンスも加わる。
フィニッシュは長く心地よい。

PS:オフィシャルスタンダードのカーデュ18年の綺麗でバランスの良さが個人的に大好きなのですが、このカスクストレングスでラムカスクフィニッシュのカーデュは元々の綺麗な酒質のカーデュに上手くラムカスク由来のフルーツ感が乗っかってる印象です。開栓後あまり日にちは経っていないようで、樽感の多少の硬さを感じましたが、時間経過でまだまだ美味しくなりそうモルトでした。

カリラ10年 55.6% ハンドフィル

博多のバーで頂いたカリラのハンドフィルです。

アロマの立ちはしっかりと語りかけてくる印象。トップノートでピートと穀物の甘い香り。クレゾール、アーシー、麦芽香、背後に瑞々しいフルーツ、マスカット、柑橘系フルーツ。時間が経って黄桃のような熟したフルーツ感。
フレーバーはピートと穀物の甘味、フルーツの酸味が続く。暖かく樽の渋みが残る。微かにバナナのような熟したフルーツ感もあり、時間経過とともによりハッキリと表に現れてくる。
余韻は中程度。ピートとフルーツの酸、甘味が残る。
分厚いピート感をベースに時間経過で変化するフルーツ感を堪能出来るモルト。

PS:蒸留所に直接行かないと手に入らないハンドフィル。博多の中洲のバーで頂きました。海外の販売サイトで個人輸入のような形で手に入れられているそうです。ピートの質はスタンダードのカリラと同質なものを感じましたが、背後に存在するフルーツ感はよりリッチで重層的でした。

リンドーズ シングルモルト MCDXCIV

スコッチの歴史を少しでも知っている人には気になる一本です。


アロマは穏やかに語りかけて来る印象。香り立ちは弱め〜中程度。
トップノートでハーブと樽のニュアンス。白い花、メントール、ミント、バニラ、シナモン、全体的にフレッシュで爽やかな印象。
続いて爽やかな穀物感、少し渋めの柑橘系フルーツ、リンゴの芯。さらに時間が経ってブドウの皮、ブルーベリーの酸味を連想する香り。
フレーバーは、穀物の甘味、フルーツの甘味が樽の渋み、酸味を背景に広がり、蜂蜜のような甘さとハーブ様の爽やかさが残っていく。
フィニッシュは、フルーツの皮の苦味。樽の渋み。余韻は短め〜中程度。
フレッシュで爽やかな香味をベースにしっかりとした甘味も感じられる。熟成は短いがバランスよくまとめられている。

PS:リンドーズといえば、スコットランド王室財務省文書で最古のスコッチウイスキーの製造記録に記されている修道士ジョン・コーが属した修道院の名前として有名です。
リンドーズアビー蒸留所は、リンドーズ修道院廃墟の所有者であるドリュー・マッケンジー・スミス氏がその跡地に2017年に創業しています。ウイスキーの製造プランはあの故ジム・スワン博士が手がけ、スチルはフォーサイズ製で計3基が備えられています。設備といい、味わいといい謂わゆるクラフト蒸留所とは一線を画しているように思えます。
ボトルのデザインも好印象で、若いながらに上手くまとめられている印象でした。

グレンリベット12年 ライセンスドドラム

グレンリベットの限定品、オリジナルストーリーズの第2段です。

アロマは優しくしっかり語りかけて来る印象。
トップノートで黄桃、黄色い花。続いてバニラ、シナモン、青リンゴ。優しい麦芽のニュアンス。背後に硫黄、ハーブ。
フレーバーはアタックで優しいフルーツの甘味、喉を通すと酸味、オークの渋味が広がる。全体的に熟したフルーツのニュアンスで樽由来のスパイス感がアクセントになっている。スタンダードのグレンリベットより酒質もしっかりとしている。
フィニッシュは樽の甘味とスパイス感。余韻は中程度。
優しいフルーツ感と時間が経って現れて来るスパイス感の絡み合いが豊かな味わいを演出している。

PS:グレンリベットの限定品シリーズ、グレンリベットオリジナルストーリーズの第2段です。今回は1824年に創設者ジョージ・スミスが初の政府公認の製造免許を受けたことに敬意を表してのリリースのようです。おそらくは当時の味の再現を試みているのでしょう。
ファーストフィルのバーボン樽とファーストフィルのヨーロピアンオーク樽熟成の原酒を使用しており、味わいからもその特徴が上手く表現されているように感じます。

アードベック ファーミュテーション

ボイラーの故障により偶発的に出来たアードベックです。

アロマはじっくりと語りかけて来る印象。トップノートで甘いピートと麦芽香。塩っぽさ、魚の皮、漁港の香り、アーシー、ほんのりシンナー。奥に柑橘系フルーツ。
フレーバーはアタックで甘くヨーグルトの様な酸味と甘味、ピート、魚の皮の苦味、海のソルティ感。
フィニッシュはピートと心地よい酸味。
魚っぽさを感じさせるピート感とヨーグルト感、合うはずもない取り合わせが絶妙にマッチ。これだからウイスキーは面白い。

PS:2007年にボイラーの故障で生産ラインが止まり、通常72時間の発酵が3週間にも及び、それを蒸留、13年間熟成させたのがこのアードベック ファーミュテーションだそうです。
通常、発酵後期で酵母による発酵より乳酸発酵が優位になるにですがさすがに3週間発酵しているとどんな反応系になっているのか想像も出来ません。
実際のテイスティングでは特徴的な酸味が印象的ですが、アードベック本来の魅力も健在でした。

ミルトンダフ2012-2021 ウイスキーMEW

ゴッホの「ひまわり」が映えるボトルです。

アロマはしっかりと語りかけて来る印象。アタックで熟したフルーツと成熟した麦芽感。黄桃、バニラ、シナモン。時間が経って蜂蜜、フルーツタルト、黄色い花。
フレーバーはアタックで熟したフルーツの甘味と酸味。背後に樽の心地よい渋みが並走。若さゆえのアルコール感が伴うがフルーツ感や樽感に上手く馴染み違和感はなく、酒質の強さとして伝わって来る。時間が経って柑橘系フルーツのニュアンスも
フィニッシュはフルーツの酸味と樽の渋み。余韻は中程度

PS:ウイスキーMEWは、山岡家秀雄氏がセレクトしたウイスキーを販売するウイスキー専門サイト。発売の度、人気が高く常に抽選販売になっています。この美しいラベルは言うまでもなくファン・ゴッホの「ひまわり」で、思わず購入しました。ボトルの中身もラベルにマッチし魅力的でした。

ウシュクベ リザーブ

生命の水という名のウイスキーです。

アロマは穏やかに語りかけて来る印象。トップノートで素朴な穀物感とやや人工的な溶剤感。続いて黄桃、熟したリンゴ、蜂蜜、バニラ・シナモン・クローブなどの樽にニュアンス、ハーブ。微かなピート香が全体的な深みを演出。
フレーバーはアタックで熟したフルーツの甘さ、酸味。続いて樽の渋味からスパイシーな質感が残っていく。余韻は中程度。時間が経つとライチなどの南国フルーツ感のヒント、甘いハーブのニュアンスも漂う。
コンテンツが多彩でバランスが良い。ゆっくり楽しみながら何杯でも楽しめそうなブレンデッドウイスキー。

PS:ウイスキーを生命の水などというとアル中と思われるかもしれませんが、ウシュクベとはゲール語で「生命の水」の意味であることは、その筋の人の間では常識のようです。ラベルもレトロな感じで酒屋で見ても目が留まります。
ノンエイジのブレンデッドウイスキーですが、適度な熟成感と嫌味のないシェリー樽後熟の魅力を存分に味わえます。

マーレイ マクダヴィッド Benchmark カリラ 2014 6年 PXカスクフィニッシュ

ペドロヒメネスシェリー樽、追加熟成のヤングカリラです。

アロマは穏やかに主張する印象。トップノートで熟したフルーツ感、樽のニュアンス。薬品、黄桃、湿った木材。少し時間が経って柔らかいピート感、燻した魚の皮、バニラ、シナモン、ミント、メントール。

フレーバーは熟したフルーツ、トースティーな穀物感、心地よく柔らかいピート、魚の旨味成分。余韻はピートを伴う柔らかく長い苦味。余韻は比較的長い。

PS:バーボンホグスヘッドで熟成後、スペイン王室愛飲のヒメネス スピノラ社のPXシェリーの空き樽で7ヵ月追熟したカリラ6年。心地よいピートとペドロヒメネスのマッタリとした甘いニュアンスが熟成年数の若さと上手くマッチしてネガティブな要素を感じさせない。